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とうきょうさんぽ


以前、地下鉄に乗っていて「とうきょうさんぽ」の車内広告を見かけました。独立行政法人 労働者健康安全機構 東京産業保健総合支援センター(とうきょうさんぽ)では、産業医学、労働安全工学、メンタルヘルス等に豊富な経験を有する専門スタッフ「両立支援促進員」が事業場を訪問し、治療と職業生活の両立支援に関する制度導入の支援や、管理職・従業員を対象とした啓蒙教育を実施しています。また、平成28年2月に厚生労働省から示された『事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン』に沿って、両立支援プラン・職場復帰プランの作成を助言しています。

『ガイドライン』では、「近年、がんの治療は進歩し、がんになっても仕事を辞めず働き続けることができるようになってきました。企業として、社員が治療を続けながら安心して働くことができる職場環境を作りましょう」と謳われています。平成25年度厚生労働省調査では、疾病を理由として1ヵ月以上連続して休業している従業員のいる企業の割合が、疾病別にメンタルヘルス:38%、がん:21%、脳血管疾患:21%となっています。平成22年度調査によれば、仕事を持ちながらがんで通院している患者の数は32.5万人です。今後さらに労働力の高齢化が進むことが見込まれるなか、職場において疾病を抱えた従業員の、治療と職業生活の両立支援への対応が必要となります。

診断技術や治療方法の進歩により昨今では、従業員が病気になったからといって、すぐに離職しなければならないという状況ではなくなってきています。しかしなかには、仕事上の理由で適切な治療を受けることができなかったり、疾病に対する従業員自身の不充分な理解や職場の理解不足等により離職に至ってしまったり、といったケースも見受けられます。別の調査では、連続1ヵ月以上の療養を必要とする従業員が出た場合、≪ほとんどの者が病気休職を申請せず退職する≫≪一部に病気休職を申請せず退職する者がいる≫とした企業は、メンタルヘルスの場合18%、その他疾患では15%となっています。さらに過去3年間で病気休暇制度を新規に利用した従業員のうち、38%が復職せずに退職していました。

両立支援を行うための環境整備について、『ガイドライン』には以下のように示されています。

①基本方針の表明と通知

職場の衛生委員会等で調査・審議を行い、事業場内ルールを作成し、すべての従業員に通知のうえ、治療と職業生活の両立を実現しやすい職場風土を醸成する。

②意識啓発

管理職に対しても、治療と職業生活の両立支援のための啓蒙教育を行う。

③窓口の明示

従業員が安心して相談を行えるよう、窓口を明示し、提供された情報の管理を明確にする。

④制度・体制の整備

「短時間の治療が定期的に繰り返される場合」「就業時間に一定の制限が必要な場合」「通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合」等があることから、次のような制度について検討し、導入する。

・時間単位の年次有給休暇

・事業者が自主的に設ける法定外の休暇としての傷病休暇

・時差出勤制度

・短時間勤務制度

・在宅勤務制度

・試し出勤制度

さらに両立支援プラン策定に際し、盛り込むことが望ましい事項として、次のように示されています、

a.治療・投薬等の状況及び今後の治療・通院の予定

b.就業上の措置および治療への配慮の具体的内容および実施時期・期間

c.フォローアップの方法およびスケジュール

また、「同僚や上司に可能な限り情報を開示し理解を得たうえで、周囲の者にも過度の負担がかからないようにする」「入院の場合、休業に関する制度と休業可能期間、職場復帰の手順について情報提供する」あるいは「従業員自身による職場復帰に向けた準備も必要」とされています。さらに、治療後の経過が悪い場合、事業者は労働安全衛生法68条により就業禁止の措置を取ることや、また従業員の疾病が再発するケース等も念頭に置いて対処する必要があるとされています。

『ガイドライン』に沿い制度拡充が図られてきた職場もあるかもしれませんが、現実にはまだまだ厳しい状況にあると言えるかもしれません。2017年5月22日の日本経済新聞は、次のように報じています。

5月15日、自由民主党厚生労働部会における、受動喫煙に対する規制強化の議論のなか、大西英男衆議院議員は「(がん患者は)働かなくていいんだよ」と発言した。これを受けて22日、全国がん患者団体連合会は厚生労働省で記者会見し、「治療と仕事の両立が政策として実行されてきた中で、逆行する発言だ。」と非難した。

23日、大西氏は都連副会長を辞任しました。

出典 : 日本経済新聞 2017.5.22 ほか

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